世界経済に多大な影響を与えている新型コロナウイルス。
航空業界も大打撃を受けており、世界各国の航空会社が倒産や従業員の大量解雇を発表しています。
航空業界は今どんな状況にあるのか、新型コロナウイルスの大打撃を受けた世界の航空会社をまとめました。
新型コロナウイルスの大打撃を受けた航空会社
ヴァージンオーストラリア航空
ヴァージンオーストラリア航空が事実上の破綻となりました。
オーストラリア政府に対し支援を求めましたが、大株主であるエティハド航空やシンガポール航空に支援を求めるべきだとして、申し出は却下されました。
参照:ヴァージン・オーストラリアが破綻-新型コロナで収益急減
アビアンカ
南米2位の国営航空会社、アビアンカが破綻しました。
KLMに次いで、世界で2番目の歴史を誇る航空会社です。
2万人いる従業員のほとんどが無給休暇を取得しています。
参照:Colombian airline Avianca files for bankruptcy in US court
エアカナダ
従業員の半数以上が、6月7日付けで解雇されると発表されました。
最低でも1万9千人の従業員に影響が及ぶ可能性があります。
参照:Air Canada to lay off 20,000 workers amid travel industry collapse
タイ国際航空
タイの国営航空会社、タイ国際航空が破綻しました。
タイ国際航空は以前より業績不振が続いており、新型コロナウイルスの流行が破綻の決定打となってしまいました。
参照:タイ政府、タイ国際航空の更生手続き申請へ 救済計画を撤回
シンガポール航空
1972年にマレーシア航空と分離して以来、シンガポール航空では初の最終赤字となりました。
国土が小さく、国内線の運航がないシンガポール航空の経営は、厳しい状況が続いています。
ターキッシュエアラインズ
ターキッシュエアラインズの社長は、2020年と2021年の2年間は従業員の雇用を守ると発言しています。
他の航空会社で解雇の発表が相次ぐ中、会社トップのこうした発言は、従業員にとって心強いのではないでしょうか。
参照:No Turkish Airlines Staff Cuts for Two Years, Chairman Tells HT
フィジー航空
管理職を含む、外国人パイロット全員(79人)と、客室乗務員400人の解雇が発表されました。
対象となった従業員は、48時間以内に会社から私物を撤退するようにという、厳しい通告を受けることとなりました。
参照:Nearly 800 Fiji Airways Staff Laid Off Including Every Single Flight Attendant and All Expat Pilots
LATAM
南米最大の航空会社、LATAMが破綻しました。
カタール航空などの大株主からの融資を確保したとしています。
ガルーダインドネシア航空
ガルーダインドネシア航空の社長は、パイロットの解雇が余儀なくされていると述べています。
今後、解雇が発表されると予想されます。
参照:Garuda Indonesia Makes Difficult Decision to Lay Off Pilots
エアアジア
エアアジアが客室乗務員111人、パイロット172人、整備士50人の解雇を発表しました。
対象者には補償を約束するとしています。
エアアジアはLCCの重鎮として存在感を発揮し、東南アジアの航空需要に大きく貢献してきましたが、今後の需要回復には時間がかかりそうです。
参照:AirAsia terminates 111 flight attendants, 172 pilots, 50 engineers
エミレーツ航空
エミレーツ航空では、6月9日の1日だけで600人のパイロットが解雇されました。
新型コロナウイルスに起因して解雇されたパイロットは、合わせて792人となりました。
世界最大の長距離航空会社のひとつであるエミレーツ航空の大量解雇は、航空業界に大きな衝撃を与えています。
参照:Exclusive | Emirates sacks 600 pilots in a day
フライドバイ
フライドバイは、無期限の給与削減と無給休暇を発表しました。
パイロットと客室乗務員の今後については検討中で、解雇は明言されていません。
参照:Budget airline Flydubai could stretch unpaid leave duration
カンタス航空
カンタス航空では、従業員の20%にあたる6000人が解雇されることになりました。
さらに、16000人が一時的な解雇となる予定です。
参照:Coronavirus: Qantas cuts thousands of jobs as it plans for a three-year downturn
ジェットスターアジア
ジェットスターアジアが26%の規模縮小を発表しました。
また、ほとんどの従業員が12月まで休暇を延長されることとなります。
参照:Jetstar Asia to cut 26% of jobs, extend staff furlough under COVID-19 recovery plan
ノックスクート
タイの中距離LCCノックスクートが破綻しました。
2014年の就航以来、単独黒字を出すことなく事業を終了することになりました。
ブリティッシュエアウェイズ
ブリティッシュエアウェイズでは、パイロット350人が解雇となります。
さらに、その他のパイロット300人については給与を50%減額し雇用を保留にするとしています。
参照:British Airways Reaches Deal to Cut 350 Pilots
エアロメヒコ
メキシコの航空会社エアロメヒコが破綻しました。
南米ではエアロメヒコの他に、アビアンカ、LATAMも既に破綻しています。
財政的な余裕のない南米では、今度も航空会社の破綻が続く可能性があります。
一方で、明るいニュースをもたらす航空会社も
ベトナム航空
ベトナム航空が、新たに50機の拡大を考えていると発表しました。
新型コロナウイルスの影響により、保有する103機のうち100機を接地させた中での発表でした。
ベトナム航空は、世界で最も急成長している航空会社のひとつで、国内線も多く就航しています。
他の航空会社では解雇や破綻が相次ぐ中、ベトナム航空のこうした発表は、今後の航空業界や航空ファンに希望をもたらすのではないでしょうか。
参照:Vietnam Airlines Mulls Ordering 50 New Planes
まとめ
航空業界の状況は、依然として不安定なままです。
しかし、少しずつではありますが、回復の兆しが見え始めた航空会社もあります。
航空業界の方々が、一日でも早く現場に戻れることを願っています。
もちろん私たち乗客にも、安心して旅行や出張に行ける日が戻ってきてほしいと思います。